【ポケスペ考察】剣盾編のラストを妄想してみる
※注意※この記事にはゲーム剣盾のクリア後の要素の一部およびポケスペ剣盾編の最新5巻および最新話の内容が含まれています。
未プレイおよび未読の人はご注意ください。
ゲーム剣盾で放置していたソッド・シルディのイベントをプレイしたらなかなか興味深かったので、そこから妄想してみたよ。
ポケスペの悪ノリではなかったのね
前の記事にも書いたけれど、私は近作では珍しく
ポケスペ → ゲーム
という順番で剣盾に触れたので、
ゲームの要素だと思っていたものがポケスペのアレンジ
だったり、
逆にポケスペのアレンジだと思っていたものがゲームの設定に近いもの
だったりと、普段とは違う発見が多くて面白かった。
ソッドとシルディ(以下、シーソーコンビとも書く)はまさにそれで、
格好はともかくとしても、このふざけた言動はきっとポケスペのオリジナル設定だろうなぁ(←褒めてます)
とか思っていたら、ゲーム版でもそんなに違いがなかったので、逆の意味で驚くこととなった。
とはいえポケスペは“らしい”もので、そこからさらに露悪的にアレンジしている(←褒めてます)のはさすがというか何というか。
ガラルの伝説は改竄されている?
そんなポケスペにおけるシーソーコンビの描写の中で特に興味深いのは、彼らの先祖によるガラルの伝説の隠蔽・改竄疑惑であろう。
伝説が一部失われているという設定自体はゲームとほぼ同様ながら、ポケスペはそこから一歩踏み込んで描写している。
ただしこれは
「ゲームにも裏設定としては存在し、描写を控えめにしているだけ」
という可能性があるので、“ポケスペのアレンジ”とは言い切れない。
なのでこの記事では、あくまで「ポケスペはそこまで描いている」だけに留めて考えることとする。
私は読んだ時、この点はかなり重要な設定だと感じた。
特に、ローズの印象が大きく変わったのである。
ローズがいわゆる“破壊者”なのは変わらないけれど、
彼が本当に壊そうとしていたのは
こうしたガラルに蔓延っていた欺瞞だったのでは?
と私は思うようになり、彼の真意の核心はそこにある気がしてきたのである。
ビートが実行犯とはいえ、ラテラルタウンの壁画破壊事件とか示唆的すぎるしねぇ。
ローズが唆したのか、あるいはビートがその感受性の強さでローズの無意識を強くキャッチし実行(=暴走)したのかはわからないけれど、後者だったら面白すぎるなぁ。
でもまさか壁画の裏により真実を伝える彫像がある、なんてことは誰も知らなかっただろうし、オチとしてはできすぎだが。
もちろん、オリーブが5巻で言っているように、ローズの行為、特にブラックナイト周辺には「判断の誤り」が多いので擁護できる余地は少ないのだけれど、
少なくとも、類似性が指摘されるフラダリとはこの点において違っているように思えるのである。
ラスボスは誰だ?
だから私は4巻までの内容だと、ローズがラスボスになるのだと思っていた。
特にビートへの扱いが象徴的で、ジムチャレンジに推薦しておきながら名前をろくに覚えていない、という態度から
「個人を個人として尊重しない」
というのがローズのテーマで、これが主人公サイドらへのアンチテーゼになっているのだと感じていたからである。
ところがどっこい、詳しくは読んでいただきたいので書かないけれど、ローズとビートの間にはちゃんと絆があったことが5巻やコロコロイチバン9月号(7月発売号)で明かされていく。
ローズの態度にはちゃんと真意があったのである。
私はとにかく褒められたいタイプなのでこんな形の絆は絶対に嫌だけれど、「ID野球」が代名詞の一つの、日本球史に残る某名監督が
「選手を伸ばすやり方や接し方は選手それぞれ」
であり、
「褒めて伸びる選手がいれば突き放すことで発奮する選手もいる」
みたいなことを言っていて(うろ覚え)、そこから考えると、“ローズとビートにとっては”あれがベストの関係性なのかもしれない。
結果論かもしれないが、事実ビートはいい方向に進んでいっているわけだしね。
繰り返すが、私だと絶対駄目だろうけどなぁ。
個人が大事にされること/他人と協力すること
そうなると、ラスボスはわからなくなる。
とはいえ、ローズは違ったけれど、私は剣盾編のテーマはそれでも「個人を個人として尊重しない」の反対である
「個人が個人として尊重される」
だと思う。
根拠はいくつかあって、
- 3巻p132-133のマナブを見守るシルドミリアらのシーン。
私はこのシーンがちょっと引くくらい生々しいから大好きなのだけれど、ここにはっきりとそのテーマが現れている - 上記のローズとビートの関係性。
うまくいったのはやはり結果論にせよ、ローズはビートのパーソナリティをきちんと理解し、それにふさわしいチャンスを与えていた - ソニアの過去でのローズやネズの振る舞いと、それによるジムチャレンジの変化
- ダンデの主張。
現在の「ガラル全体で強くなる」の意味は、強い人も弱い人もみんながそれぞれに尊重されなければなし得ないはず - 現在発売中のコロコロイチバン9月号のシルドミリアの創人への言葉。
↑ここ、すごいいいシーンだから単行本を待たずにぜひ読もう!
5巻のすぐ続きだし、今の時期なら
「帰省先で親戚の子供に頼まれて買うんです〜」
という顔で買えるから大人でも恥ずかしくないよ!
などなど。
…とはいえ、こうやって文章にしてしまうと単に説教じみた話になってつまらないし(マンガだから面白くて飲み込めるのだ)、
そもそも日下・山本両先生も(に限らず作者というものは)作品全体に意図を100%行き渡らせて描くわけではないと思う。
だから、これが意図したテーマなのかどうかは知らないし、そこの正誤は私はあまり興味もない。
ではそれでも何でこんなことを書いたのかというと、
ゲームの剣盾にはマックスレイドバトルの存在があって、
それが剣盾のゲームシステムの中心にある
ことが見過ごせない、重要なポイントだと思うからである。
そこにはLv.100とくこう特化ムゲンダイナの「ダイマックスほう」連打でも勝てない相手が普通にいるのだ。
このことから私は図鑑完成以外にも剣盾の“ソロプレイ”には限界が設定されていると感じたし、それは明らかにこれまでのシリーズとは違う点だと思うのである。
ちなみに、ではどうすればいいのかと言うと、それは他人と協力するのが一番である。
「ダイマックスほう」が一発では無理でも二発ならどうか
シリーズ初プレイの人でも十年プレイしている人が手伝ってくれたらどうか
みたいな感じである。
その際には、利用する/されるみたいな関係性では長くは続かない。
稼ぎプレイ一つとったって、最も効率的なのは、信頼できる相手とゆっくりにせよ長く協力し合うことである。
そして、これらのことをまとめて大きく言うなら
「個人が個人として尊重される」
ということで、だからそれがゲーム・ポケスペに通底する剣盾編のテーマなのでは?と思うのである。
ゲームの要素をきっちり拾い上げるポケスペはこうした要素はしっかり作品の通奏低音に入れてくるはずで、そしてそれが現れているのが上記に挙げた1〜5の点だと思うのである。
繰り返すけど、これが先生方の意図によるものかはわからないし、やはり私は別に正直どちらでもよい。
「私が作品からそう感じただけ」の話であり、だけどこうしたことをさらっと描いてしまえるのが私の思うポケスペのすごさで、好きな点なのである。
ポケスペはやっぱり作品の根底にポジティブなメッセージが込められていると思うもの。
過去に囚われ空っぽな人
この前提に立つと、ラスボスは必然的に
「個人を個人として尊重しない人」
もしくは
「最も個人として尊重されていない人」
となるだろう。
そんな可哀想な人は一体誰なんだ……
…いたーっ、ソッドとシルディがまさにそんな人たちじゃないかーっ!
自他共に「王族」とか「平民」と、人を属性でしか判断しない
というだけでなく、
彼らの血統へのこだわりは逆説的に、彼らが個人としては扱われてこなかったこと
を示唆しているようである。
その証拠に、彼らの主義主張には「彼ら」の主義主張を感じないものね。
英雄になると彼らは言うけれど、
「どんな英雄になりたいか」
とか
「英雄となって何をなすか」
とか一切ないもん。
彼らにとって
「英雄になる」
とは多分
「英雄になれなかった先人の無念を晴らす」
という意味で、そこに現実的な内容などないのだ。
先人たちのやらかしを引き継がざるを得ず、
そしてその因果から逃れることもできなかったがために、
することといえば空虚な理想を振り回すのみで、その結末は破滅的なもの…
……どう考えても完全な偶然とはいえ、2022年にはタイムリーすぎて何ともねぇ…
クライマックスはエンディング後イベントを踏襲するのでは?
話を主題に戻し、そろそろ結論に入っていこうと思うけれど、
近年のポケスペはゲームのストーリーに基本的には沿うことが多いことを考えると、剣盾編もまたその流れを踏襲すると予想できる。
そこを踏まえ、かつソッドとシルディをラスボスと仮定するなら、ゲームにおける彼らのイベントの後半が残っているのがどうも気になる。
もちろん彼らは“小物”なので彼らが直接のラスボスというよりも、彼らがラストバトルの何かしらの引き金を引く、くらいだろうけれど。
でもイベントの後半には、それにぴったりの展開が残っているのである。
ムゲンダイナとの再戦(ここはゲームにはないけれど)、そこには創人・シルドミリアらに加え◯◯◯◯・◯◯◯◯◯もいるが、
そこにシーソーコンビが現れ、ゲーム通りに◯◯◯◯◯を◯◯◯◯・◯◯◯◯◯に◯◯することで◯◯◯◯・◯◯◯◯◯が◯◯し、
だけどそれを鎮めることで決戦の用意が整う
…こんな感じが剣盾編のクライマックスになるのではないかなぁ。
その後に図鑑所有者で地方対抗ガラルスタートーナメントをやろう
誰が◯◯◯◯・◯◯◯◯◯を鎮めるのか
こうなると見所はいくつかできて、
- 誰が◯◯◯◯・◯◯◯◯◯を鎮めるのか
→ ここかなり大きい見所を作れそうで、本命は当然創人。
対抗は、ゲーム通りに一人はホップになり、もう一人が(おそらく創人が手助けをするという形になるだろうが)マナブになる、というもの。
私は案外後者だと思っていて、
- 5巻の巻末などを読むに、創人の手持ちは決戦までに6匹埋まりそうな点で、◯◯◯◯・◯◯◯◯◯はてもちにし辛い(てもちにしないなら、この点は問題ではなくなるが)
- 上述した3巻の展開がもっとも象徴しているように、
マナブは私が考える剣盾編のテーマである「個人が個人として尊重される」を体現している一人であり、ゆえにシーソーコンビと対立するように描写されるのは違和感がない - マナブがナミダくん(みずタイプ)をてもちにしているのを、
そのまま素直に、彼が図鑑所有者における“主人公ローテーション”にいると大胆に読んでしまうなら、
「主人公」とホップが◯◯◯◯・◯◯◯◯◯をてもちにする
というゲームの展開を踏襲することになり、整合性がある
というのが主な理由。
ソッドとシルディの現状
5巻を読まれた人はご存知のように、ソッドとシルディは実質的にはリタイアしている。
しかし、いくつかきな臭い要素が残っている。
ネタバレになりすぎない範囲でいくつか。
- まず、病院での描写が少ない。
姿が描かれ、かつ特に言及があるのはローズ、キバナ、ダンデなどで、シーソーコンビの現状は今ひとつはっきりしない。
とはいえ、実はやはり彼らは別にラスボスでもなんでもなくて、だから「描くまでもない」だけなのかもしれないけれど。 - ゲーム版における一般人のような外見の“協力者たち”の存在。
私はこの要素があるのにここまで登場していないのが気になっていて、だからここから彼ら一般人に紛れた協力者がシーソーコンビをこっそり病院や警察から逃がすのでは?という気がしている。 - ◯◯◯◯◯◯の◯の影響
そのせいで暴走し、“小物”から一段階くらいステップアップして現れるのでは?と思うのである。
まとめ
剣盾編はいつものポケスペらしく、巻が、ストーリーが進んでいくにつれ面白さが加速していく章だと思う。
私は最初1〜3巻まで読み、そこから4巻、5巻と読んでいったのだけれど、そのたびにいくつも線が繋がっていく感じがあって、読み直すたびに発見がある。
この記事を読む人はきっともうすでに剣盾編を読まれている人で、というか、むしろ、読んでいない人は読まないほうがいい記事であり、つまり誰に向けて書いているのかわからないけれど、
みんな、剣盾編を読もう〜!
というところで今回はここまで!読んでいただきありがとうございました!
予想を当てたらこっそりでいいので褒めてください
それでは!
以下、ちょっとおまけあり。
おまけ①ぼくのかんがえたガラルスタートーナメント
私は戦線離脱したジムリーダーの数がどうにも気になる。
無事そうなのは、
ターフのヤロー
エンジンのカブ
ラテラルのサイトウ、オニオン
アラベスクのポプラ(/ビート)
キルクスのマクワ
の5都市6人で、離脱組が
バウのルリナ
キルクスのメロン
スパイクのネズ
ナックルのキバナ
の4都市4人。
これの何が気になるかというと、パワースポットのないスパイク(ネズ)と、マクワが無事なキルクスを除くと、手薄なジムがバウとナックルの2つあること。
2つ……「ヨロイ組」と「カンムリ組」の数と一緒ですねぇ……
そしてシーソーコンビのイベントでは、ジムが戦いの舞台になる展開がある。
つまり、ここからジムで異変が起きて、でも手が回らない展開になる。
それが彼らが本島に帰ってくるきっかけになるんじゃないのかなぁ。
ついでにここで未登場のキョダイマックスポケモンを全部出しちゃおう
最初読んだ時はさらっと読み飛ばしていたけれど、きっと先生方はここまで考えて離脱者とかを決めているんだろうね。
とはいえこれが伏線かどうかはわからないけれど、もしそうなら、伏線張るのって本当に瞬発力勝負と感じますね。
で、ここからはわたしの妄想書いていいですか。
でも創人らはムゲンダイナと決着をつけにいかなくてはならず、ジムを助けに行く時間はない…
しかし、実はそれぞれの場所に何とかつての図鑑所有者たちが訪れており、彼らがその役目を引き受けてくれる、という展開が!ないかなぁ
わたしは
レッド、イエロー、ブルー(つまりピカブイ組?)がヨロイ島に、
ダイヤモンド、パール、プラチナ(=BDSP組)、あとムーンがカンムリ雪原にいると予想妄想していて、
それぞれの章がなさそうな現状、そこでその分の活躍をしてくれ…たら嬉しすぎるなぁ。
そこではムーンがイメージぴったりなガラルヤドキングをてもちとかにしていないかなぁ。
どくタイプで、それでいて薬を作り出すポケモン。ぴったりすぎる。
彼女のてもちに空きはまだまだあるし。
そして、決戦後、スタジアムでの戦いを気に入ったレッドが
「いっそ全員でトーナメントでもすっか!?」(29巻のセルフオマージュ)
とか言って、負傷者の多いガラルの実力者たちが出られない分、
図鑑所有者たちで第1回のガラルスタートーナメントが開催される(そこで23人が全員揃う)、
それがラストバトル後のエンディングのシーン…
とかどうかなぁ!
…こんなんしようと思ったら、これまで通りなら剣盾編はあと3話だけど、絶対収まらないよね。
どうするんだろうね。6巻完結が怪しいとするなら話数的な制限は緩くなるからできなくはなさそうだけど。
SV編、行くのかな?
SV編はともかくとして、B2W2編よろしく掲載媒体変えて剣盾編の連載は続行なのかな。
そもそもガラルスタートーナメントを図鑑所有者オールスターでやったら大団円すぎてポケスペそのものが完結してしまいそうな気もするけど、どうなんだろうね?
おまけ②創人の背番号808
5巻の感想でも書いたけれど、創人は今まさに
「弱さを受け入れること」
を問われているのだと思うけれど、そのひと押しのきっかけに、誕生日が(0)808のあの人がなる、という予想。
そこに関して、さらに思ったことがあったので書いてみる。
あの記事を書いた後に、
その人こそがまさにポケスペにおける「弱さを受け入れる」を体現した一人だ
と思い至ったのである。
5章24巻のあの名シーン、まさにそれじゃん!
ちなみにあそこ、わたしいくらでも語れるくらい大好きなんです。
ここを剣盾編の展開に沿って膨らませながら考えてみると、創人が背番号808を選んだ理由はまだ明かされていないことにまず行き着く。
シルドミリアは背番号について「好きな番号ー♡」(1巻、p82)とは言っているけれど、創人は完全に不明である。
まぁ、シルドミリアも
「(ある人の誕生日だから)好きな番号ー♡」
なのか、
「好きな番号ー♡(がたまたまある人の誕生日で、シルドミリアはそのことは知らない=作者による偶然狙い)」
なのかははっきりとはしないけれど。
ここはとりあえず強引に、仮に創人は憧れの人にまつわる番号として808を選んだとして、
創人にとってレッドはどういう人で、どういう接点を持っているのかを妄想してみる。
とはいえ自分の地方のリーグにすら興味のない創人とレッド…遠そうだなぁ。
そこで私が考えたのは、父親の影響説。
父親がテレビとかでレッドの戦いを見ていて、ふと
「このトレーナー(レッド)の戦い方は弱さを受け入れた者の戦い方だな」
とか言っていて、それを聞いた創人が興味を持ち、やがて憧れに変わっていった…とかでどうでしょう?
いくら興味関心の範囲の狭い創人でも、父親の言うことなら影響受けるんじゃないかなぁ、なんて。
それなら、これからレッドが出るとして(←完全な妄想)、その戦いぶりを見ることで初心を思い出し、また、影響を受けることで、それが最後のひと押しになって自信を完全に取り戻す、なんて展開が作れそう。
早ければ8月発売の10月号で答え合わせできないかな!無理かな!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
剣盾編のクライマックス、楽しんでいきましょう〜!