「冒険譚としての剣盾編」考察の後編と、連載のまとめです。
<目次>
- 7-1. 【英雄】とはローズのことだった?
- 7-2. 「仲間を裏切ってはいけない」と本質的には一緒
- 7-3. ローズの失敗は必然だった
- 7-4. 感嘆、そして「ぞ〜〜〜」
- 7-5. 傑作超えて怪作・剣盾編
- 7-6. コンテキスト確定のパラドックス
- 7-7. 「ブラックナイトのコミカライズ」
- おわりに
- 脚注
「冒険譚としての剣盾編」考察の後編と、連載のまとめです。
<目次>
前回【#5】は「ミステリとしての剣盾編」という考察でした。今回は「冒険譚としての剣盾編」の考察の前編です。
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ついにおまけのコーナーが独立してしまった…だと…?そんなわけで、こちらの記事は前回の続編というか、補足となっています。
<目次>
この【#5】から、過去記事振り返りというよりは新しく考えてみたことについての内容となります。
<目次>
先日、Twitter(現X)にて、山本サトシ先生から2019年に行われたインタビューの存在を教えていただく機会がありました。
それが収められているのはマンガ研究の論文であり、すでに読まれたことのある方もおられるとは思います。ですが今回の記事では、私のように初めて知った方向けに、論文およびインタビューの内容を紹介してみたいと思います。ポケスペ読者の方には山本先生の発言がどのようなものだったのかを、そこから興味を持たれた方には論文についても一緒に紹介できれば嬉しく思います。
<目次>
李穎超さんの論文はこちらからどうぞ。
マンガ研究科で博士号を取得した李穎超さんの博士論文が「2021年日本感性工学会大会」で著作賞を受賞 | 京都精華大学
論文の概要、『ポケットモンスターSPECIAL』や山本サトシ先生の発言に関する紹介はこちら。
『現代マンガにおける「かわいいキャラクター」の分析と創作』の山本サトシ先生の発言部分について - けいのブログ
続きを読む『オメガルビー・アルファサファイア編』(以下、ORAS編とも)を考察するにあたっては、とても好奇心をくすぐられる言及が一つあります。それは、通巻版63巻の山本先生の『作者のことば』です。
ただし、これは単行本を読んだ人だけの要素となるでしょうから、引用はいたしません。要点だけ確認します。「XY編とORAS編には、同じ構図が用いられたシーンがある」というものです。
<目次>
『ポケットモンスターSPECIAL スカーレット・バイオレット』先行版5巻が8/28(金)に発売となりました!
最初は各話感想をもう一回しようかなと考えていたんですが、単行本として読んだ時の流れから感じたことの方が書きたいなと直感で思ったので、今回はそちらのスタイルで行きます。
発売の約1週間前に公開された表紙を見た時、「あれ、スカーレットしかイーブイバッグを背負っていない?」と気になったんです。
連載時にはイーブイバッグの有無になど全く注目していなかったので、
「これはひょっとして、ボタンが大事にしている(であろう)イーブイバッグを渡した=スカーレットへの信頼の深まりをアイテムの位置によって演出していたのでは?」
という予想が閃き、にわかにわたしは色めき立ったのでした。
ただし結論から言えばこの読みは違っていて、ep32ではボタンもイーブイバッグを持っていたのでこれは単なるわたしの早とちり。
だけどep26〜27時点では確かにレッティ一人しか持っていませんでした。つまり、「イーブイバッグが一つ」という見立ては×だったけど、ボタンはスペアなり何なりで複数持っていて、その内の一つをレッティに渡していたのでは。そうならやっぱりエモい。
もちろん、明言されていない以上、変装道具は全てレッティが自前で用意した可能性もあります。だけど、ep26のシーンではボタンはハンガーに掛かった替えの服*1の裏に隠れているんですよね。
これはボタンの遠慮が伝わってくるのと同時に、そうした「衣装のスペア」の存在も示唆しているみたいで何だかいいなあと思いました。
今年の3月に書いた30話までの感想記事の中では、ep26とep30のネモのセリフが特にお気に入りだと書きました。単行本として読んでもそれは変わらなかったのですが、感じ方にはちょっと変化があったのでそのことについて。
連載時に感じたインパクトで言えば、ep30>ep26だったんです。雑に言えば、ep26は「わかる」って感じで、ep30は「よくぞ言ってくれた…!」みたいな。でも単行本で読むとそれが逆になっていて、ep26が「よくぞ言ってくれた…!」でep30が「わかる」に近かった。
特にep30に関しては、「あそこでなぜネモがああいうふうに言い切れたのか」について、単行本の流れの中で読むとネモの心境の変化や物語での成長がより一層自然に感じられて、だからもうすとんと「わかる」となったのでは、と後から考えたりしました。
逆にep26は、ネモがずっとレッティと一緒にいたがゆえの"言葉の重み"を連載時よりも強く感じたことが大きかったのかも。それによって何だか軽々に「わかる」とは言いたくなくなったのかもなぁ、と思いました。
あとここの場面、読み返すたびに思うけどアオキがいい役もらってますよね。
ep32、p163〜164のネモと話すペパーの場面は、SV編の中でも一、二を争うほど好きになったシーンです。
ネモのセリフに無邪気に喜ぶわけでも、デリカシーがないと怒り出すわけでもなく、一瞬虚をつかれた後にすぐ鎮痛な表情に変わったその心情は、おそらく「マフィティフの回復はバイオレットの協力あってこそであり、本当は喧嘩別れすることなくバイオレットと祝いたかった」という自分の本心に気付いたからではないかなあ。
だけどそれをそのまま認めるのはまだ気持ちの置き所がないから、ひとまず八つ当たりしやすいフトゥー博士のせいにした、というのがこのシーンのキモだと感じます。
連載時、リアルタイムのわたしの感想はこんな感じ。バイオレットの性格や目的、経歴を思えば、フトゥー博士の連絡などなくても遅かれ早かれどこかで一回物別れしかねなかったことはペパーにしても割と予想はついたはず。なのにあくまでフトゥー博士の連絡のせいにしているところに、ペパーの中でバイオレットの存在が大きくなっていることをすごく感じるんです。
*1:これは原作ゲームのボタンの部屋にもあったはず。このシーンではボタン・レッティがそれぞれ着ている服、ハンガーの服と、一つの場面の中に同じパーカーが3着(!)もある